からくり設計でオリジナル・マーブルマシン 製作ワークショップ
概要
助手の個人研究・ラボ企画の一環として、からくり設計の専門家であるからくりすと氏をお招きし、3DCADやメカ機構、からくりの設計・制作について学ぶワークショップを実施しました。
近年では、高性能なサーボモータやマイコンが普及し、また扱いやすいドライバモジュールや制御ライブラリが登場したことで、動きをもつキネティックな作品を作ることが比較的簡単になりました。しかし回転運動を直線運動に変換したい、遠く離れた場所に動力を伝達したい、小さなスペースや任意の形状である動きを実現したい、複雑な動きを作りたいなどの要求がある場合には、古くから使われてきた歯車や関連部品の組み合わせ方を知り、機械的な機構「からくり」を設計する必要があります。
このワークショップは直径10mmの金属球を転がして運ぶマーブルマシンの設計・制作をとおして、機構や「からくり」について学び、参加者が機械式時計などの複雑な道具の仕組みを理解する足掛かりとしたり、動きをもつ作品を作る際に使える選択肢を増やすことを目的に企画・実施されました。
ワークショップは全2日間(7月12日 ・ 7月13日)の日程で実施されました。
参加者(定員): 8名
参加者の所属・学年:先端、工芸(彫金)、デザイン、芸術学、メディア映像など
一日目 | 7/12(土) 座学・Rhinoceros入門
ワークショップの初日には、まず参加者の自己紹介ののち、動力を直角に伝達する傘歯車(ベベルギヤ)、レールに沿った不規則な動きを実現する溝カムなど、さまざまな種類の機構紹介が行われました。次に今回のテーマであるマーブルマシンの設計サンプルが3種類紹介され、10数問程度の課題をこなすことでRhinocerosの操作に慣れる演習を行いました。講師の持参したからくり機構の紹介や、質問時間なども設けられました。


二日目 | 7/13(日) 設計相談・講評
ワークショップ二日目は、講師に相談しながら実際にからくりの設計、3Dプリンタでの出力などを行いました。
Rhinocerosのエイリアス機能や、歯車を組み合わせる際のオフセットの取り方、歯数の計算による回転数の減衰、かさ歯車を図面から作る方法など、基礎から応用まで闊達な設計相談が行われました。




設計はもちろん、3Dプリンタの出力にも多くの時間がかかるため、参加者のほとんどは2日間のワークショップ期間内に稼働するモデルを完成させることはできませんでしたが、参加者の一部はワークショップ終了後も引き続き制作に取り組み、完成品が共有されました。
講師:からくりすと
宮城県刈田郡出身。 東北芸術工科大学にてプロダクトデザインを専攻。 同大の卒業制作では時刻を筆記するからくり時計「書き時計」を制作。 SNS に投稿した動画が大きな反響を呼んだ。 以来、「構造の可視化」をコンセプトに、機械的な動力伝達のみで構成される 構造体「からくり」を製作している。
企画:川田助手
※ 本ワークショップはJSPS科研費JP25K03722の助成を受けたものです。