柳島克己先生 質問への回答

柳島克己先生(撮影監督/東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻教授)より

質問への回答

 

  

1116193 1年 美術 先端芸術表現 井上千晶

質問:撮影者も予算管理を行っているとのことであったが、他部門でもそれぞれ予算管理されているのですか?

 

柳島先生より回答:

映画の予算は、キャスティング費、スタッフ費、美術費、撮影関係機材費、録音費、車両費、衣装メイク費などの他に、撮影現場に必要なロケーション費や交通費から食事費用などの現場制作費などがあります。

他にも現像所関係や整音のスタジオ関係などのポスブロの費用あります。

更に宣伝費は現場に次いで多くの予算を掛けるのが通常です。

それらの全体予算をプロデューサーが振り分けます。

その具体的になった金額は、予算管理をするラインプロデューサーがし、映画制作に関するそれぞれの関係者や関係会社と予算を対応していきます。

本題の質問ですが、撮影部だけではなく他の部署の責任者はラインプロデューサーと交渉をし、割り当てられた予算内で収まるよう話し合いを重ねます。

どの部署も限られた予算の中で、映画にとって如何に効果的に出来るかが、実は大きなファクターの一つです。

このラインプロデューサーはいろんなタイプの人がおり、なかなか難しい問題です。

 

 

   

1116124 1年 美術 工芸 増田茜

質問:「カメラ」という時と「キャメラ」と言う時があった。

 

柳島先生より回答:

この件の言い回しに関しては、自分の癖のようなもので、紛らわしくて申し訳ありません。

海外ロケ場合や外国人スタッフと一緒に撮影するときは、どうしても「キャメラ」と呼ぶ方がニアンスの通りが良いので、そのような時に使っていたのが癖になったのかなと思います。

 

 

  

1115093 2年 美術 彫刻 佐々木麦帆

質問:全く寝ていないイメージがあるが実際はどうですか?

 

柳島先生より回答:

日本の場合の映画の制作体制は千差満別で、低予算映画の場合は10日間で2時間の映画を撮るというような事は良くあります。

中にはそんな劣悪な状況で撮った状況を宣伝材料にしている監督、プロデューサーもいます。

基本全国公開をするような規模の映画では、大手の映画制作会社が制作に入るので、1日の撮影時間はそれ程長くありません。

ただ、その日に撮り終わらなければならない場所、状況によっては長時間の撮影もあります。

撮影で言えば、短期ですがCM撮影、音楽PV、TVドラマの撮影の労働条件はハードなようです。

因みにアメリカではユニオン(労働組合)しっかりしていて、スタッフや俳優などの労働条件が守られています。

  

 

 

1115020 2年 美術 日本画 中條亜耶
質問:絵コンテを制作しない重大な理由とは?

 

柳島先生より回答:

日本の場合でも、最近は画コンテを用いた現場が増えてきて、CMでは画コンテは必須です。

映画でもCGカットが多いシーンや、画コンテがあることで説明、理解を易くする為や、複雑なアクッション・シーンなど、カットの流れの表現が難しい時などでは画コンテを作ります。

画コンテを採用した現場の長所としては、画コンテに書かれた事を基にスタッフが同じイメージを持って作業に対応でき、撮影の流れを理解し易いなどがあります。

画コンテを基にした事前の準備や対応でも、無駄な部分を少なく出来るなど多くの利点もあります。

逆に言えば、スタッフや俳優は画コンテに縛られがちで、現場でのアイデアが反映されにくく、監督がそんな状況を嫌う事も良くあります。

日本映画はシステムや効率だけの制作体制というより、監督のイメージを尊重している場合が多い。

 

 

2016年5月10日